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OYBU DAIRY FARMS 〜 YOGURTERIA MILK’ORO 〜 ◎大薮牧場 〜ちいさな酪農家の挑戦〜 大薮牧場は、熊本県合志市という、西日本でも有数の酪農の盛んな地域にあります。 合志=こうし=子牛!?という、酪農をするにふさわしい名前のこの街で、当牧場では無化学肥料でデントコーンを栽培し、地元熊本の飼料稲を中心とした飼料を与え、乳牛100頭ほどを飼育しております。 また、当牧場では酪農教育ファーム認証牧場として、1993年から牧場探検、搾乳体験やバター作り体験、トウモロコシ畑迷路等の体験を通して「命の温かさや、命(食)の循環」を伝える活動を行っております。   ◎大薮牧場の存在価値とは何か 数年前に、私が就農後初めての生産調整を体験し、牧場の存在意義や私自信の酪農家としての存在価値について考えるようになりました。 酪農業界は農政や為替などの外部からの波風に翻弄されやすい業界で、約10年毎に生乳の生産調整が発生し、最悪の場合、牛乳を廃棄しないといけなくなる牧場もありました。 堆肥から畑土を作り、飼料作物を栽培し、牛を飼い、一滴のミルクが生産されるまでには、お母さん牛のお腹の中に命が宿って約3年かかります。それを廃棄する事はとても辛く、しかも廃棄の際は「産業廃棄物」扱いになり、下水にも流せません。両親や私が人生の時間の多くを費やして生産した牛乳が産業廃棄物扱いされることがとても衝撃でした。 牛乳は一元集荷・多元販売なので、他の牧場のミルクと一緒にパック詰めされて販売されるため、わが家の牧場が無くなったとしても他の牧場のミルクがパックに充填されていくだけなので、我が家の牧場が無くても誰も困らないという事が、生産者として存在価値がないように思えて寂しさや危機感を感じました。   また、酪農家は自分で生産した牛乳を直接販売する事が、許可無しにはできません。             乳等省令により、保健所の厳しい審査をクリアし、高い衛生管理技術や高価な設備を備えた設備を準備しなければならない為、牛乳を直接販売するための製造許可の取得は、製造許可の中でもハードルが高いとされています。 たとえ、設備投資の資金的な壁を越え、製造許可を取得したとしても、朝晩の搾乳や昼間の飼料畑作業などの日常の酪農作業と同時に製造や販売・営業の時間を割くことが難しい状況です。 そうした中で私は、牧場から直接お客様にわが家のミルクを色んなカタチでご提案し、『選ばれる生産者になることこそ、当牧場の酪農牧場としての存在意義に繋がる』と考え、生産調整などの外からの波風に強い生産者になるために、乳製品製造許可に1年がかりで挑戦し、どうにか取得することができました。  初めの頃は、朝は搾乳、昼は畑、夕方の搾乳が終わった後で製造を開始。日付が変わった頃に片付け終わり、明け方4時に発酵状態のチェックして、朝の搾乳が始まる…という具合でした。 ◎なぜヨーグルトなのか 世の中には沢山の大手メーカーや酪農家さんが乳製品を販売している中で、私は当牧場の生乳の特徴を目で見てもわかるように、『ミルクの違いを表現する』為にヨーグルトの製造を開始致しました。 ・牛乳は、飲み比べても違いが分かりにくい。(乳脂肪率の高低だけでは味覚での「濃さ」は分かりません。乳中のナトリウム分の多さでも「濃さ」を感じてしまいます。) 違いがわかりにくい商品は、乳製品=北海道・阿蘇といったイメージで選ばれてしまい、無名な生産者は選ばれにくいので、わが家の牛たちに申し訳ないので、牛乳の製造の道は選びませんでした。 ・アイスクリームは、フレーバーや副原料の特徴が強く出る為、牛乳の違いが分からなくなってしまいます。 ・チーズは、製造工程でホエーとして牛乳の90%を捨ててしまわないといけません。土を作り畑から飼料を栽培して生産した牛乳なので、酪農家としてその一部でも無駄にしたくありませんでした。 ・唯一、ヨーグルトだからこそ、わが家のミルクの乳成分の高さをクリーム層に表現することで、目で見るだけでもミルクの品質の違いを表現することができます。 また、天然の発酵のチカラで乳酸菌数が多く増えたり、当牧場独特の健康機能性を備えた商品となったり、発酵の過程で乳糖が分解されている為、ヨーグルトは消費者の方のお腹にとても優しい乳製品となります。    ◎目指す酪農家としての在り方 『あって良かったと思っていただける牧場になること。そして、必要とされる生産者になること』。                  「美味しく機能的な商品」をご提案していくことで、商品も牧場環境も楽しんでいただけるような酪農家になりたいと考えております。 その道を追求していく中で、九州経済産業局・九州バイオクラスター協議会(KBCC)による「フランス オメガ3プロジェクト」にスターティングメンバーとして参加し、渡仏。BLEU BLANC COEUR(BBC:有機農産物組合)を訪れました。 BBCは、オメガ3脂肪酸に富む亜麻種子に着目し、農畜産物の品質向上やその成分を活かした「人の健康」に役立つ商品づくりに取り組んでいる団体です。 【家畜を健康に飼う事で、人も環境も健康に】というBBCの活動やBBCの商品は、フランス政府により全国の栄養健康プログラムに採用され、欧州のウェイトコントロールラベルを受賞、また温暖化ガス削減方法として公的に認められています(家畜の排出するメタンガスを抑制)。 BBCの創始者の1人はブルターニュ地方の酪農家のピエールさんで、彼の牧場の農家民宿を訪ねてBBC設立の想いをお聞きしました。  「土から食物を育て、牛を飼い、農産品を提供している我々農家は食物連鎖の中心にいる。だからこそ、子供達や消費者、農畜産物、地球環境に対して責任を持たないといけない」という酪農家=生産者としての使命感や想いに共感し、BBCの技術を活かした酪農を開始しました。 その後、平成25年九州地域バイオクラスター推進協議会がフランスのBBCと包括連携協定を締結。 フランスのBBCとのMOU国際連携プロジェクトが開始しました。 当牧場では、BBCの技術を使用する事で牛を更に健康に飼うことができるようになり、乳量が増え、搾りたてのミルクから天然のオメガ3脂肪酸が多く検出されるようになりました。 現在、この若返り成分である『オメガ3脂肪酸が豊富なジャージーミルク』を活かした商品開発を進めております。   ◎『MILK’ORO Aging Yogurt』の誕生 フランス オメガ3プロジェクトにより完成したのが、『MILK’ORO Aging Yogurt』です。 このヨーグルトは、乳缶型の砡(ぎょく:白硝子ビン)を使用したオリジナルガラスビン入りのオメガ3リッチな2層熟成式ヨーグルトです。  「Aging Yogurt」とは、チーズやワインのように「熟成していくヨーグルト」という意味です。 商品名:MILK’ORO の由来は、【 MILK + ORO = 金色のミルク】。 当牧場のミルクの特徴を濃厚なクリームの層に表現し、『わが家のミルクの美味しさの違いを金色に磨き上げてヨーグルトにすることで、皆様に美味しいや健康といったキラキラした体験をお届けできる牧場になりたい。』という想いを込めております。 こちらの白いガラス=砡(ぎょく)は、日本で1社しか製造されておらず、伊勢神宮のお神酒容器としても使用されている由緒正しいガラスビンです。 プロジェクトでフランスを訪れた時に、老舗のボン・マルシェやギャラリー・ラファイエットなどではヨーグルトはガラス瓶に入っており、現地の乳業メーカーさんに尋ねたところ、ガラス瓶や陶器入りが伝統的なヨーグルトの製法ということでした。(プラの素材では、ミルクにプラの臭いが移ったり、プラの溶剤が溶け出したりするおそれがある為、ガラス瓶が選ばれている。) 「全力でわが家のミルクを磨き上げたヨーグルトを、最高の状態でお客様にお届けする」為に、この砡ガラス瓶を選びました。 ガラスなので陶器よりも強度が高く、天然素材で無臭のため、臭いの移りやすい乳製品向きの容器です。フランスなど欧州のスーパーマーケットでは、売り場の半分はガラス瓶のヨーグルトが並んでおり、食文化としてヨーグルトの容器にはガラスを使用する事が根付いております。 プロジェクトでの渡欧や個人旅行で世界中ヨーグルトを食べ歩いておりますが、2層式や熟成式、オメガ3生乳使用のヨーグルトは、スーパーにはほとんど販売されておりませんでした。  日本の大手ヨーグルトメーカーも、ノンホモのヨーグルトはほとんど作られない為、市場には2層式のヨーグルトはほとんどありません。 その理由に下記のようなものがあります。 1:良質の濃い生乳だけを集乳できないため、薄い生乳でしか製造できない事。 2:当牧場のようなノンホモ製法ができない事。(製造が煩雑で、且つ、大手メーカーでの発酵施設ではヨーグルトに個体差ができるためクレームになるので作れない。(雪印・明治・オハヨー乳業 等)3:乳脂肪を分離して生クリームで販売される為、層ができない事。   現在、当牧場の「オメガ3生乳使用・2層・熟成ヨーグルト」の製造事業が、熊本の地域資源を活かした事業ということで、経済産業省に地域資源認定をいただき販路拡大を行っております。   ◎【 YOGURTERIA 】ヨーグルト専門の名の下に 当牧場では、今後「ヨーグルトが『おやつ』や『おかず』になれるような舞台」を準備し、更にミルクを金色に磨き上げていきたいと考えております。  その最初の試みとして、当牧場のヨーグルトのオメガ3や乳酸菌の多さ等の機能性をそのまま活かしたジェラートを作るべく、2013年、イタリア・ボローニャにある「CARPIGIANI:GELATO UNIVERSITY」カルピジャーニ社のジェラート大学に入学。ジェラートの基礎を学び、ヨーグルトジェラートの開発を開始致しております。 ヨーグルトがベースの単純なジェラートではなく、牧場のスタッフと試食を重ねてお客様にお勧めできるフレーバーを試作しております。 また、当牧場のオメガ3ミルク使用ヨーグルトの機能性を補完するような食材や食感のある食材と組み合わせることによって、より美味しく健康に良いジェラートを目指しております。 ◎ヨーグルトを「スウィーツ」の舞台に上げたい 日用食品の一つであるヨーグルトは、白いゲル状で3個¥100や400g150円ほどのイメージが一般的だと思います。 どんなに生乳の生産にこだわったヨーグルトでも、「いつどこで」できたか分からない脱脂粉乳などの乳製品でできたヨーグルトでも、見た目では分からないと思います。 私は酪農家であり生産者であるものとして、「お客様に選ばれる理由のある商品」をご提案していくことを心がけて作っている当牧場のヨーグルトですが、 更にご満足いただける商品にブラッシュアップしたいと考えている中で2016年4月の熊本大地震が発生しました。 牧場の被害は少なかったのですが震源地付近の農家の友人の被害が大きく、新規開店直後に被災して閉店した方や自宅が大規模半壊したり、従業員が被災したことで圃場作業が進まず果実が腐っていったりという友人がおり、何か自分にできることはないかということで、収穫の手伝いに行き、また果実を購入させてもらいました。 そうした中で、友人の農産物を活かしたジェラートを作ってみようと考え始めました。これまでジェラートは違いを表現することが難しいと感じておりましたので商品化を進めていなかったのですが、わが家のヨーグルトだからこその「違い」を表現してみようとチャレンジしてできたのが「Gelacho」です。 特徴は、生のヨーグルトと果実で作っているので、乳酸菌が生きており(冷凍下では乳酸菌は寝ている状態)、食べたらお腹で目覚めるのでお腹にやさしいことや、 甜菜糖や九州産の葛粉などカラダに優しい素材をだけを使用し、子供から大人まで安心して食べられるジェラートになっております。 また、原料のわが家の自家製ヨーグルトには乳酸菌の数が1カップに数億個生きているため、ジェラートで多くの乳酸菌を摂取できます。 難点は、ヨーグルト作りに丸1日、その翌日にならないとジェラートが作れないので、丸2日かかってしまうことや、地元や九州産のもぎたてフルーツを贅沢に使用しているため、期間限定フレーバーはなくなり次第また来年となってしまうことです。   最後に、これからもミルクが生まれる循環を活かして、乳製品や仔牛肉や酪農体験などのご提案ができるような美味しく楽しい牧場を目指していきたいと考えております。   読みづらい文章を最後までお読み下さいまして、誠にありがとうございました。 今後とも、どうぞよろしくお願い致します。 『次の世代を育むため、わが家のミルクにできること。』 オオヤブデイリーファーム 大薮裕介